趣味つらつら

個人的な趣味をつらつら書いていくだけの需要があるかわからないブログです。

出力(馬力)とトルクについて

今回は、車の性能評価で用いられる出力とトルクについてお話していこうと思います。一般的によく議論されること二つの指標ですが、実際のところ何が違うのかよくわかっていないところもあるかと思います。私もそうでした。今も完全に理解しているかといわれればそうではないのですが、この二つの数値を表す意味のほんの少しだけでも理解できたと感じております。出力とトルク、さらには、ギア比といった一連の車の加速性能に関わる話は、豊かで深い一般論がありますが、ここではそれらの一般論には立ち入らずに、具体例を出しつつ趣味の範囲で考察を進めることにします。

 

 

 

 

(豊かで深い一般論ってなんやねん… すいません、身内ネタです。教授が使っていて一度使ってみたかったのです。)

 

 

 

 

 

 

まずは簡単に、言葉の意味から始めていきましょう。トルクというのは、回転運動時に、その回転方向にかかる力を数値で表したもので、出力は、トルクにその時の回転数をかけたものなります。式で表すのであれば、

 

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という関係になるというわけです。つまり、回転数に比例して大きくなるので、回転数が大きくなればなるほど、出力は増加するということになります。式だけでは実感がわかないので、実際の体験に置き換えてみましょう。よく使われる例が、自転車のペダルです。自転車のペダルを押し込む力をトルクとします。ペダルをこぐ速度を上げていくとどうなるでしょうか。答えは簡単です。どんどん早くなっていきます。そして、ペダルをこぐ速度を上げていけばいくほど速度が上がっていきますよね。それが出力になるというわけです。つまり、出力が高ければ高いほど、最高速度が上がっていくということです。

では、実際、回転数を上げ続けることはできるのでしょうか。回転数を上げることは可能です。ただ、その回転数の時、トルクが減少していると出力は上がりません。実際の車のエンジンの出力特性を図で確認してみましょう。

 

 

ガソリンエンジンの場合

 

 

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ガソリンエンジンの場合を考えます。

ガソリンエンジンは最も普及している内燃機関の一つで、乗用車によく使われます。燃費がよく、排ガスの出しにくい、振動や音も少ないという利点からコンパクトカーから高級車まで採用されている汎用性の高いエンジンです。今回、上にのせているトルク曲線は、1.5Lの一般的なNAエンジンの例です。

 

 

では、行きましょう。

 

回転数が上昇するにしたがってトルクと出力が上昇しています。ただ、トルクが、3500回転から減少しているのが分かります。ですが、出力は上昇しています。これは、トルクの減少よりも回転数の上昇のほうが比率は高いため、積を取った時に大きくなったケースです。この場合だと、回転数を上げていったほうが速度は上がっていくと考えることができます。トルクは、3500回転が一番高いのでギアを回す力はこの回転数の時が一番強いと考えられます。このトルク特性から言えることは、回転数を上げて加速する必要があるということです。低回転でのトルクが少ないため、加速するためには高回転まで回す必要があります。ただ、無限に回転数を上げることはできないです。エンジンが壊れしまいます。大体、8000回転が限界でしょう。これが、一般的なNAガソリンエンジンの特徴ということになります。

 

 

 

 

 

 

ディーゼルエンジンの場合

 

 

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次にディーゼルエンジンについて考えることにします。ディーゼルエンジンは昔、トラックやトレーラーなどによく使われていました。トルク曲線を見ていただければお分かりですが、2000回転という低回転から高いトルクを出すことができます。つまり、車を前に押し出す力が強いというのがディーゼルエンジンの特徴の一つです。これは、重い車両に非常に有効で、トラックなどは高速度というのは必要なく、低速度領域から中速度までしっかり加速させてあげる必要があります。車に搭載できる排気量が決まっている中、排気量が少ない割にトルクを発揮することができるディーゼルエンジンは重い車両にはぴったりなエンジンとなります。では、トラックのエンジンと聞いて何を思いうかべるでしょうか。

黒い排ガスをバンバン出して、カラカラとしたうるさい音と振動。こんなイメージでしょうか。これらの通り、ディーゼルエンジンを好き好んで乗用車に乗せるような人はあまりいませんでした。ですが、近年になってクリーンディーゼルというものが開発されました。ディーゼルエンジンの持つ長所は低回転からの豊かなトルクです。あとでも述べますが、これは街乗りにはちょうど良いのです。クリーンディーゼルは、ガソリンエンジンと同等レベルのクリーンな排ガス、騒音や振動を低減させたエンジンです。上のエンジンは、マツダのクリーンディーゼルエンジンの例になります。

 

 

解説はこれぐらいにして、本題に入ります。

 

 

 

 

 

トルク曲線を見ると、ガソリンエンジンと全然特性が違うことが明らかです。最大トルクを発揮している回転数が2000回転と、非常に低くなっています。またその時の数値も450N・mと4リッターガソリンエンジンと同じぐらいのトルクを発揮しています。通常のガソリンエンジンは燃費や、税金を考慮して、1.5Lから2.5Lに抑えることが多いので、4リッターガソリンエンジンに匹敵するということはとてもすごいことになります。2000回転を境にトルクは減少し、4500回転からさらに減少するスピードが上がっていきます。出力は4500回転までは上がっていきますが、4500回転からは、トルクの減少スピードの影響が回転数の上昇よりも大きくなるため、出力が減少してきます。このように、ディーゼルエンジンは高回転に弱いという性質があります。これはどういうことかといいますと、出力が出ないため、最高速度がガソリンエンジンよりも低いということになります。

 

 

 

 

 

 

まとめますと、ガソリンエンジンは高回転までまわしてパワーを出す、ディーゼルエンジンは低回転をメインに使うということになります。どちらのほうが街乗りに適しているか、明らかです。街中でエンジンをバンバン回して走っていては燃費も悪くなり、うるさいです。ということは、街乗りはディーゼルエンジンのほうが向いており、ガソリンエンジンはサーキットを走るのに向いているということになります。実際にところ、ガソリンエンジンが主流なのは、すでにたくさんのノウハウができていたり、ターボチャージャーをつけたりすることである程度は解決します。また、一からクリーンディーゼルエンジンを作ることは開発コストもかかり、本体価格も上昇します。車に興味のある人や、一部の人にしかその価格上昇に見合う価値を理解してもらえない以上、利益になりません。

 

 

さて、ここまで読んだ方で、結局トルクと馬力ってなんだって思う方もいらっしゃるかなと思います。

 

 

トルクは、車を加速させる力で、馬力はトルクと回転数についてくるものとしか説明できないことをお詫びするとともに、次のお話でもうすこしトルクについて理解を深めることができれば幸いです。

 

 

加速とギア

 

 

 

ここからは、実際の車のギア、トランスミッションの話を含めてお話していきたいと思います。まずは、簡単な例から。

 

 

変速機のついた自転車はご存じでしょうか。乗ったことない人でも想像はつくかと思います。手で、ギアを変え、ペダルの重さを変えるものです。ギアを下げれば、足の回転数は上昇し、ギアを上げれば、足の回転数は下がります。これと反面、足にかかる力(トルク)は、回転数に反比例しますよね。

 

 

 

 

車でも全く同じで、MT免許をお持ちの方ならわかるかと思います。AT車でも、教習車のほとんどはCVTといった無段階変速機ではなく、段のついたギアになっていると思います。速度が上がっていっても、回転数は上がり続けません。途中でギアが上がっていくからです。

 

 

実際に、どのように加速していくのかエンジンで場合分けをして考えることとします。

 

 

ガソリンエンジンの場合

 

ここで、街中を低回転で走っているときに加速する場合を考えます。3速に入っているガソリンエンジンあったとして、回転数は1500回転とします。この時のトルクは、125N・m、ギアを下げて1速にした場合、140N・mとトルクは1.12倍にしかなりません。ですが、車は3速の時よりもぐんぐん加速してきます。これはどういうことでしょうか。自転車のペダルを思い出してください。ギアを下げれば、同じ速度を維持するための足への負担が減ります。つまり、トルクが減るのです。車も同じで、加速の場合、ギアを下げたほうが同じ加速力を得るための必要トルクは減るということになります。これにより、ガソリンエンジンがギアを下げた場合、トルクの上昇分に加え、ギアの与える影響の相乗効果により、一気に加速することができるというわけです。

 

 

 

 

ディーゼルエンジンの場合

 

ガソリンエンジンと同じ状況で、街中を低回転で走っているときに加速する場合を考えます。3速に入っているディーゼルエンジンエンジンあったとして、回転数は1500回転とします。この時のトルクは、350N・mとなります。ここで加速する場合どうでしょうか。これだけのトルクがあれば、3速のギアで必要な加速力を生み出すための力を確保することができ、変速する必要がありません。つまり、ディーゼルエンジンは加速する場合、低速域の豊富なトルクによってギアを変える必要がないのです。低回転のまま維持することができ、これが非常に気持ちいいです。

 

 

以上の考察で、トルクと馬力の違いが少しでも分かってくれたないいなと考えております。また、副産物として、ガソリンエンジンディーゼルエンジンの違いについても説明しました。ディーゼルエンジンの魅力についてわかっていただけたら幸いです。今後の車選びがますます楽しくなることを期待しております。

 

 

 

 

 

 

 

ここからは個人的に気になったことをご紹介してきたいと思います。(といってもこれがメイン)

 

ディーゼルエンジンに乗ったことのある人なら疑問に思う方もいらっしゃるのかなと思います。

 

 

マニアックな話です。興味もある方はお付き合いください。

 

 

それは、最大トルクである2000回転を維持しながら加速したほうが速いのか、エンジンを回して走ったほうが速いのかということです。

 

これ対して一つの答えを導き出すことができたので、ご参考下さい。

 

1速  3.487

2速  1.992

3速  1.449

4速  1.000

 

これは実際の車のギア比です。

 

加速するときに、1速から2速へシフトダウンする回転数はいつがよいのでしょうか。2速が1速と同じ加速力を得るためには、1速の1.75倍のトルクが必要になります。

 

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つまり、タイヤへの駆動力と実際のトルクは一致しません。2速の変えた段階でギアが重くなっているため、1速よりもトルクが必要なってしまいます。1速から2速になった段階で、その時のトルクの1.75倍出ている回転数になるように、シフトアップしていくと良いとことになります。2速から3速、それ以降も同じです。

 

 

最大トルクを2000回転で発揮するのでその時が一番速いということを意味しているのではなく、2000回転で走っているときにそのトルクを自由自在に操ることができ、通常よりも加速力が必要な時にはギアを下げることなく加速することができる。そのためなのだということです。

 

 

 

まとめ

 

ディーゼルエンジンでフル加速をするときギアを早めに下げたほう良いのか、引っ張ったほうがいいのか疑問に思った方多いと思います。実際は、ギア比によって変速タイミング違いますが、一般的には最大トルクを発揮する回転数以上まで回して変速させる、つまり、回したほうが速いのではないかという結論に至りました。間違い等ありましたらコメント等でお願いします。